日誌

令和元年度卒業式式辞

 越谷東高等学校第三十六期卒業生の皆さん。ご卒業おめでとうございます。
 今回の卒業式は、コロナウイルス感染症蔓延防止の観点から、規模及び時間を縮小して行わざるを得ませんでした。
 本来ですと、この式辞もきちんと皆さんの前で述べるはずだったのですが、印刷したものを配るという形になってしまいました。
 しかし、私もそして先生方も皆さんの卒業を、心からお祝いする気持ちに変わりはありません。
 保護者の皆様におかれましても、このような形での卒業式となったことは、大変残念に思われていると拝察いたします。しかし、大局的な見地からの判断であるということで、どうぞご理解ください。
 保護者の皆様にとりましては、この三年間は平穏な日ばかりではなく、様々な気苦労や、ご心配をされた日々も、あったことと、拝察いたします。しかし、そのような日々を乗り越え、卒業を迎えられたことは大きな慶びであり、心からお祝い申し上げます。
 ところで、卒業生の皆さんが在学中に、時は平成から令和に移り変わりました。この卒業式は、令和最初の卒業式ということになり、皆さんは越谷東高等学校の令和最初の卒業生ということになります。皆さんは、そのような新たな時代を切り拓いていく、節目の記念すべき卒業生なのです。
 平成の時代は、コンピューターそしてインターネットの加速度的な普及、また、小型のコンピューターそのものと化した携帯電話の爆発的な普及などにより、社会が急激に変わっていきました。さらに科学技術の様々な分野での発達が、社会の変化をより一層激しくしていくことが予想されます。
 皆さんは、そのような激烈な変化の時代を生きていくことになるわけです。そんな話をされると、何をよりどころとしてこれからの社会を生きていったらいいのか、不安になるかもしれません。社会が目まぐるしく変化していく時代を生きていくには、どういったことが必要なのか、心配になるのは無理からぬことです。
 ところで、江戸時代の俳人、松尾芭蕉の名前を皆さんは知っていると思います。「古池や蛙飛びこむ水の音」「閑さや岩にしみ入る蝉の声」などの俳句は、大変有名です。
 その芭蕉の言葉に「不易流行」があります。「不易」とはいつまでも変わらないこと、「流行」は時の流れとともに変わっていくもの、という意味です。芭蕉は、二つ合わせて、いつまでも変化しない本質的なものを忘れず、そのうえで新しいことも時代に合わせて取り入れていくことが、大切なことだと言っています。
 時が移り時代が変わっても変わらないもの、それは人間の心の本質的な部分だと私は思っています。ただ、勉強だけできればいい、体が丈夫でさえあればいいというものではなく、人に対する思いやり、何事にもくじけずに頑張ろうとする気持ちなどが大切、ということは変わらないと思います。
 越谷東高校で皆さんは、授業はもとより、部活動や課外活動など日々の教育活動を通じて、何事からも逃げずに前向きに取り組み、ある時は厳しさに向き合い、またある時はともに支え合い、喜びを分かち合いながら歩んできました。
 思い出してください。記録を少しでも伸ばそうと苦しさに耐えながら懸命に走ったマラソン大会、仲間と協力して成功の喜びを分かち合った文化祭、粘り強く取り組み問題が解けたときの喜び。越谷東高校で過ごしたこの日々の積み重ねは、必ず皆さんの生きるための糧となって、深く心の中に刻み込まれているはずです。皆さんが思っている以上に、この三年間で皆さんは心も体も大きく成長しました。これからも、しっかりと自信をもって生きていってください。そして、ひるむことなく未来に向かって挑戦していってください。皆さんの前途には、限りない可能性が広がっています。臆することなく挑んでいってください。
 すべての卒業生の皆さんの今後の限りない発展を改めてお祈りし、私の式辞といたします。

 令和二年三月十三日

 埼玉県立越谷東高等学校長
               奥木 幹夫